今回は、私たちが提携している筑波愛児園の施設長、山口公一先生のインタビューをご紹介します。
インタビューは2月末、 ひな祭りの飾りつけがある筑波愛児園内、 先生のお部屋で行いました。
先生は、40年以上、 児童養護施設など児童福祉の現場にいらっしゃり、 沢山の子どもやその親、
そして職員さんと接してこられた方です。いつも私たちをあたたかく迎えてくださるその柔らかい
お人柄の奥 には、 私には想像もできないたくさんの大変なご経験があったのだろうと 思います。
当日は、先生がそのご経験のなかで見いだされた、児童養護施設で働くうえで大切なこと、そして、
そこで目指す養育とは何か、を伺いました。
そして職員さんと接してこられた方です。いつも私たちをあたたかく迎えてくださるその柔らかい
お人柄の奥
当日は、先生がそのご経験のなかで見いだされた、児童養護施設で働くうえで大切なこと、そして、
そこで目指す養育とは何か、を伺いました。
児童福祉に関心のある方はもちろんですが、子育て中の方/ これから子育てをされる可能性のある
多くの皆さんに、読んでいただき たいインタビューです。全4回に渡ってご紹介します。
多くの皆さんに、読んでいただき
児童養護施設で暮らす子どもたちのため、施設の正しい認知を広めたい
‐ Living in Peaceの活動をしていて感じるのですが、「児童養護施設」は一般にはまだ知らない方も多いですよね。
山口先生:
そうですね。
例えば、春休みなんかに遊園地に遊びに行くときに、
「児童養護施設なのですが、団体の割引などはありますか?」というお電話をします。すると、
「車椅子ですか?お子さん1人に先生は何名付かれるんですか?」などと聞かれてしまうんです。
一般の方が「ヨウゴシセツ」と聞いて思い浮かべるのは、「養護学校」のことが多いんですね。
ですから、私は、
「児童養護施設というのは、昔は孤児院と呼ばれていて、親が育てられない子どもたちが
暮らしているところなんですよ。」
と説明します。半世紀も前の「孤児院」という言葉の方が逆に通じてしまうんですね。
そのような状態なので、児童養護施設については、正しく理解されているとはいえないと思います。
しかし私は仕事ですから、そのように説明すればよいと思えるのですが、
特に大変なのは、ここを出て行く子どもたちです。
例えば、春休みなんかに遊園地に遊びに行くときに、
「児童養護施設なのですが、団体の割引などはありますか?」というお電話をします。すると、
「車椅子ですか?お子さん1人に先生は何名付かれるんですか?」などと聞かれてしまうんです。
一般の方が「ヨウゴシセツ」と聞いて思い浮かべるのは、「養護学校」のことが多いんですね。
ですから、私は、
「児童養護施設というのは、昔は孤児院と呼ばれていて、親が育てられない子どもたちが
暮らしているところなんですよ。」
と説明します。半世紀も前の「孤児院」という言葉の方が逆に通じてしまうんですね。
そのような状態なので、児童養護施設については、正しく理解されているとはいえないと思います。
しかし私は仕事ですから、そのように説明すればよいと思えるのですが、
特に大変なのは、ここを出て行く子どもたちです。
以前20年くらいに渡り、児童養護施設の子どもたちを全国的に集める
「全国児童養護施設高校生交流会」というものをやっていたことがあります。
そのときに、子どもたちがいつもどんな思いで生活しているか聞いたことがあったんです。
あるとき、私は、
「みんなは別に悪いことした訳ではないのだし、
自分は児童養護施設にいると表に向かって言ってもいいんじゃないか」
って言ったんです。そうしたら、ある高校生から大変な反発がありました。
「山口さんは全然俺たちの気持ちを分かっていない。
あなたはそう思うかもしれないが、それを話した途端にどういう質問がくるか分かっていますか。
小遣いはあるのか、朝はベルで起こされるのか、親と会えるのか、と矢継ぎ早に質問がくる。
そういうことをきちんと社会に対して説明しておかないで、自分たちだけそれを言いなさい、
というのはおかしい。」と彼は言いました。
私は、はっとしましたね。
だから私はその合宿で、彼とたくさん話をして、そして約束をしました。
「私は、見学を希望する人なら誰でも受け入れて、
児童養護施設を理解してもらうためにきちんと説明をしていく。」と。
「全国児童養護施設高校生交流会」というものをやっていたことがあります。
そのときに、子どもたちがいつもどんな思いで生活しているか聞いたことがあったんです。
あるとき、私は、
「みんなは別に悪いことした訳ではないのだし、
自分は児童養護施設にいると表に向かって言ってもいいんじゃないか」
って言ったんです。そうしたら、ある高校生から大変な反発がありました。
「山口さんは全然俺たちの気持ちを分かっていない。
あなたはそう思うかもしれないが、それを話した途端にどういう質問がくるか分かっていますか。
小遣いはあるのか、朝はベルで起こされるのか、親と会えるのか、と矢継ぎ早に質問がくる。
そういうことをきちんと社会に対して説明しておかないで、自分たちだけそれを言いなさい、
というのはおかしい。」と彼は言いました。
私は、はっとしましたね。
だから私はその合宿で、彼とたくさん話をして、そして約束をしました。
「私は、見学を希望する人なら誰でも受け入れて、
児童養護施設を理解してもらうためにきちんと説明をしていく。」と。
オープンに外部の方を受け入れてくださるのには、そういった経緯があったのですね。
山口先生:
はい。
ところが、その受け入れ自体はとても良いことだったんですけど、
今度は自分の施設の高校生から不満が出てきたんです。
「最近いろんな人が見学といって勝手に施設に入ってくるけど、俺たちのプライバシーはどうなんだ。」と。
私はその子どもに、見学者を受け入れようと私が思った経緯や意義を説明しました。
そして、「あなたの部屋を見てもらうのは10分間だけにする。だからその10分だけ俺にくれないか。」
と話をして、子どもの理解を得ることで続けてきました。
ところが、その受け入れ自体はとても良いことだったんですけど、
今度は自分の施設の高校生から不満が出てきたんです。
「最近いろんな人が見学といって勝手に施設に入ってくるけど、俺たちのプライバシーはどうなんだ。」と。
私はその子どもに、見学者を受け入れようと私が思った経緯や意義を説明しました。
そして、「あなたの部屋を見てもらうのは10分間だけにする。だからその10分だけ俺にくれないか。」
と話をして、子どもの理解を得ることで続けてきました。
‐ すごく難しいですね。私たちも「オープンハウス」を実施するさい、子ども達がどう感じるかということは、
運営において一番気を付けている部分です。
山口先生:
高校生くらいになると、大人がきちんとした姿勢を持って話せば受け入れるという成熟度がありますね。
そして、受け入れられるか、受け入れられないかというのは、おそらく、
日々職員が、どれだけ子どもと向き合って話をしているか、
「子どものため」と言った時にどれだけ信頼してもらえるか、ということだと思っています。
さいわい今の施設では子どもたちから不満の声は出ていないので、
きちんと理解を求めた上で、子どもたちの大変さにも気を配りながら、なるべく短い時間でやるようにしています。
そして、受け入れられるか、受け入れられないかというのは、おそらく、
日々職員が、どれだけ子どもと向き合って話をしているか、
「子どものため」と言った時にどれだけ信頼してもらえるか、ということだと思っています。
さいわい今の施設では子どもたちから不満の声は出ていないので、
きちんと理解を求めた上で、子どもたちの大変さにも気を配りながら、なるべく短い時間でやるようにしています。
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●児童養護施設の支援をするための寄付はこちら。
http://www.living-in-peace.org/chancemaker/
“子どもの貧困”の現状と今後を考える「Chance Maker Hour」のご案内

私たちLiving in Peaceは、機会の平等を通じて、貧困の削減を目指す事業を運営する認定NPOです。この度、これまでに私たちが知りえた問題の現状と問題解決の仕組み、そしてその今後についてお話する機会「Chance Maker(チャンスメーカー) アワー」を企画しました。
「Chance Maker(チャンスメーカー) アワー」では、いわゆる“子どもの貧困”の実態を踏まえたうえで、児童養護施設の現状や、私たちLIP教育プロジェクトが運営している事業内容、パートタイムNPO(他に本業を持つメンバーで運営されるNPO)の具体的な活動、所属メンバーがLIPに入ったきっかけ等についてお話させていただきます。
【こんな方の参加をお待ちしております】
“子どもの貧困”に関心のある方
児童養護施設の現状に興味のある方
パートタイムNPOの活動に興味のある方
Living in Peaceの活動への参加に興味のある方
どんなメンバーが活動しているのかに興味のある方
上記以外についても、少人数の会であることを活かし、当日はみなさまとの質疑応答の時間を多く設けていますので、なんでも質問してみてください。
<開催概要>
◆日時:8月16日15:20-16:50 (受付開始時間:15:10)
※会場の都合上、受付開始時間後にお越しください。
◆場所:AT-Garage 東京都港区新橋6-18-3 中村ビル
http://ow.ly/jEkMH
http://www.facebook.com/atgaragepjt
※御成門が一番近いですが、新橋や浜松町/大門からのアクセスも良いです。
◆定員:10名程度
◆参加費:無料
◆参加申込フォームはこちら
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