長期にわたる里親委託について
里親委託という形態をとる限り、期間が1ヶ月であろうと10年であろうと、法的には同じ枠組みのもとにあり、親権はあくまで実親のみが持ち、実親もしくは里親側の事情次第で里親委託を停止することが可能です。また、子どもにはソーシャルワーカーが付き、定期的な面談や実親と里親間の調整が実施されます。
しかし、イギリスの現行の制度では、里親委託が長期に渡る場合、状況に応じて他の法的枠組みに変更することも考えられます。
まず、子どもの年齢が小さく、実親との関係がそれほど強くない場合には、養子という選択が取られることが多くあります。また、同じく子どもが幼齢かつ、実親の元に戻ることができる可能性がある
一方、それが成功しない可能性も残されている場合、里親として子どもを実親の元へ返すために最善を尽くしつつ、それがうまくいかなかった場合は、養子として迎えることを前提として養育する、といった仕組みもあります。これには、里親による深い目的の理解が必要とされます。
その他、実親と親権を共同かつ対等に保持するという形態や、親権の共有はするが、必ずしも実親との合意なくして子どもに関する決定を下せる、といった形態もあります。それぞれの枠組みにより、
里親が受け取ることのできる金銭的手当も変わってきます。
子どもが一定以上の年齢を超えていたり、実親や兄弟とのコンタクトを定期的にとっている場合、養子という手段は必ずしも望まれないかも知れませんが、里親委託が長期に渡るにつれ、里親の権限
を拡張したり、ソーシャルワーカーによるコンタクトをなくしたりすることで、里親との関係をより永続的なものに近づけていくことが、子どもにとって最善の手段と判断されることがあります。
子どもの希望や、実親や兄弟との関係、里親家庭の事情など、子どもを取り巻く状況は多種多様であるため、それぞれのケースに合わせた柔軟な選択肢を検討していくことが大切となります。(関口)
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