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目 次
(1)寄付の状況 (2)活動報告 (3)今月の一冊 (4)ロンドンだより (5)LIPメンバーからのメッセージ (6)LIPからのお願い (7)LIPメンバー募集のお知らせ
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(1) 寄付の状況
基本情報(括弧内は5月分) 寄付者数 289名(283名 ) 寄付金総額 4,459,000円(3,954,000円 ) 6月分の寄付金 505,000円(495,000円 ) ※2012年6月末日現在。
(2) 活動報告 ~6月交流会~
機能和声という言葉をご存じだろうか?
「個々の和音が、根音と調の主音との関係に従って一定のシステムを形成している」と考える音楽理論のことで、16世紀以降の近代音楽の根幹をなす形式だ。 普段聞き慣れているコード進行の音楽は皆この形式に従っている。 いきなり固い話から入ってしまったが、どんな場所でも形式は重要だ。強固な形式は感性の在り方さえ規定する。しかし、それは時に窮屈だ。 フランスの作曲家ドビュッシーは、この機能和声にとらわれない自由な和声法を用いて新しい音楽を創りだした。名前は知らなくても、曲を聞けば「聴いたことがある」という方は多いのではないだろうか? さて、今回のキャリアセッションでは、講師にピアニストの加納裕生野さんをお招きして3時間のセッションを行った。加納さんはドビュッシーを得意のレパートリーにされており、プロの演奏を目の前で聴きながら音楽を楽しめるのは非常に貴重な機会だ。 簡単なリズムゲームでウォーミングアップし、最初はご挨拶代わりに先生のミニコンサートから。曲はドビュッシーの『月の光』だ。と、K君は最初からクスクス笑いっぱなし。 どうやらツボに入ったようで、先生から「聴くときは静かにしようね」と早速優しいお目玉を貰っていたのが微笑ましい。 その後はドビュッシー『金魚』を題材に曲のイメージを絵で表現するパート、カエルの歌をピアノで輪唱演奏するパート、加納さん自身の子どもの頃の話と続く。 最初は恥ずかしがってなかなか真剣に取り組めなかった子どもたちも次第に活き活きしてくる。カエルの歌をピアノで演奏する頃にはリラックスして音楽を楽しんでいる姿が印象的だった。 今回のゲストはピアニストなので、子どもたちが直接この職に就く可能性は低いだろう。だが、音楽に関連する職業はたくさんある。 例えば、調律師、録音技師、コンサートホールのスタッフ、スタジオ経営… 音楽は芸術であるとともに、社会としっかり繋がった産業でもあるのだ。 まだ中学生くらいの子どもたちなのでセッションはまず楽しいことが第一だが、三年後五年後真剣に進路を考えるとき、今日の体験を思い出して、社会の広さ、そして狭さを感じてくれたらと思う。 3時間はあっという間に過ぎ、先生からの最後の贈り物は『喜びの島』。このタイトルを選んでくださった気持ちに心が揺れる。 子どもたちは名残惜しそうだ。「学校行かないで毎日LIPがいい!」などと言われて少し気恥ずかしい。 そろそろ帰る時間だが、みなもう少しここにいたいようだ。 スタジオの奥のスタインウェイがどっしりと鎮座して子どもたちと戯れている。平和な時間だ。昼下がりは素直な笑い声で溢れている。 それはまるで、機能和声の呪縛を解き放った、自由な音楽のようだった。
(3) 今月の一冊 『まるで雪など降らなかったかのように』
この本は、会社の同期が働きながら書きあげた本です。お互いが児童養護施設に関わることをしていると知らずにいましたが、近いものを感じていた理由がこの本をきっかけに明らかになりました。 虐待を受けた子どもの過去と、それが今にどのような影響を落としているのか、物語を読み進めていく中で深く感じることができます。私たちに過去の経験に根ざした今があるように、 虐待を受けた子どもたちには残酷なまでに過去が付きまとうのです。 こうした重い題材を扱っているにも関わらず、この小説で綴られている言葉は、とても綺麗で読みやすく、一つ一つの言葉が心に沁みわたっていくようです。 Living in Peaceの活動とは異なる形で、児童養護施設のこと、虐待を受けた子どもたちのことを知って頂けると嬉しいです。 あらすじ(amazonより) 「一緒に北海道に行かないか」。女子大生の夏希の前に、10年前まで施設で一緒に暮らしていた司が突如現れ、こんな誘いを持ちかけてきた。 ともに親から虐待を受け、捨てられた子供だった司と夏希は、強い絆で結ばれていたが、この10年音信不通となっていたのだ。 ためらうことなくおんぼろのフォルクスワーゲンに乗り込んだ夏希・・・・・・。こうして二人の「ひたすら北を目指す旅」がはじまった。
(4) ロンドンだより
今回は、イギリスの里親家庭で育つ子どもたちが経験する、実親と里親の間の「違い 」 についてです。
この「違い」には様々な種類や性質のものがありますが、その中の大きな要素の1つとして、人種や文化的な違いが挙げられます。 イギリスの里親家庭で育つ子どもたちのバックグランドは様々ではありますが、どうしてもエスニック・マイノリティに属する子どもの占める割合が、 全人口にエスニック・マイノリティが占める割合よりも高くなる傾向になります。 一般的には、里親と里親家庭に入る子どもの人種や文化的なバックグランドが一致している方が好ましいと考えられてはいますが、そうした状況から、自分とは異なる肌の色や文化を持った里親の元で暮らすことになるケースも少なくありません。 里親と里親家庭に入る子どもの人種や文化的なバックグランドが異なる場合、周囲から好奇の目で見られたり、時にはその目に見える違いによって心無い言葉に晒されることがあるかも知れません。 また、同じ人種や文化を持った家族であれば当然知っているであろう情報が存在しない、といったことも考えられます。 たとえば、白人の里親家庭で黒人の子どもが育つことになった場合、髪の毛の手入れをどうしたらよいか?どこの美容院に連れて行ったらよいか?という疑問は、まず日常生活の中で多くの里親がぶつかるものでしょう。 このような違い理解し合い、個々のアイデンティティを尊重する家庭環境を用意することは、子どもたちがポジティブな自己イメージを形成し、豊かな人生を築いていくために必要不可欠です。 そのためには、子どもの声に耳を傾け、地域のコミュニティと積極的に関わりを持ち、新たな学びにオープンであることが重要であると考えられています。 規模は異なるとはいえ、日本で社会的養護を受ける子どもたちの中にも、日本人以外の血を引いた子どもたちがいます。「すべての子どもに、チャンスを」と考えた時に、 そうした子どもたちに対してどのようなサポートが必要かといった点も、忘れてはいけないポイントである思います。
(5) LIPメンバーからのメッセージ
第18回 小野
チャンスメーカーの皆様、初めまして。4月からLIPで活動している小野と申します。普段は物流会社で働いており、好きな言葉は「配達完了」です。 以前よりNPOに関心があり、社会に働きかけを行っている人々とお会いする中で、自分自身でも何かを始めたいと思いLIPに参加しました。 さて今回は、私が活動をし始めてから、印象に残っていることを皆様にご紹介したいと思います。 私が入会後、初めてつくば愛児園の園長先生や職員の方にお会いしたのは、4月末のスタディーツアー後の懇親会のときでした。 つくば駅近くの居酒屋で、私は園長先生の隣に座ることになり、お互いウーロン茶を飲みながら、園長先生がこれまで関わってきたお仕事のことや、一緒に接してきた子どもたちのお話を伺いました。 そのお話をしている姿からは、ご自身のお仕事や子どもたちへの熱心で、真摯な姿勢が強く伝わってきました。 懇親会も半ばを過ぎたころ、私はお手洗いへ向かったのですが、偶然園長先生も後からいらして、入り口で立ち話をしました。 その中で、どういう経緯でその話になったのかは覚えていないのですが、園長先生は、こういう懇親会でも、愛児園からの急な呼び出しがあるときもあるので、お酒は飲まないのです、とおっしゃっていました。 私はそれを聞いたとき、まさに「頭が下がる思い」というのは、今自分が感じているこの気持ちのことだ、と思いました。 おそらく、色々なお話を伺った後だったので、その言葉が、園長先生の仕事への姿勢を表しているように感じ、心にジンワリと広がったのだと思います。(小野)
(7) LIPからのお願い
平素より子どもたちへのご支援を賜りありがとうございます。 Living in Peace では”子どもたちにより広い就業の機会を”との考えから、月に1回キャリアセッションを実施しています。 キャリアセッションでは様々な職業の方をお呼びし、職業体験及びお話を伺う機会を設けております。つきまして、現在9月以降のセッションにご協力いただける方を募っております。 子どもたちからは、鉄道運転、エンジニア、パン職人、心理カウンセラー、スポーツ関連の仕事、写真家、ゲーム関係の仕事への興味を確認しており、もしこのようなお仕事に就かれている方、もしくはこのようなお仕事に就かれているお知り合いがいらっしゃる方はlivinginpeace.edu@gmail.comまでご一報いただけますと幸甚です。具体的にご協力いただく方法については、個別にご相談させていただければと思っております。 重ねてのお願い恐縮ではございますが、何卒宜しくお願い致します。
(9)LIPメンバー募集のお知らせ
LIP教育プロジェクトチームは、一緒に活動してくれる仲間を募集しています。見学も随時受け付けておりますので、ご興味のある方は、下記フォームから是非お気軽にご連絡ください。http://goo.gl/de2nr
※LIPでは、Twitter、Facebookでも、イベント情報や活動の様子をお伝えしています。
Twitter: @lip_edu
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2012年7月14日土曜日
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